アトピー性皮膚炎について

お子さんに湿疹ができると、ご家族はアトピー性皮膚炎なのではと心配になります。
日本アレルギー学会が新しく改訂した、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2012に基づき、最近の小児アトピー性皮膚炎について見解をお話しします。

 

【定 義】アトピー性皮膚炎とは

(1)左右対称
(2)慢性に経過する(大人では6か月以上、子どもでは2か月以上続く)
(3)かゆみのある湿疹

 

【症 状】

実際の症状の出方は、年齢によって異なります。
生後6か月以下の乳児の症状は、主に顔面にみられ、ジクジクや、皮膚がゴワゴワするかゆみを伴う左右対称の湿疹です。
幼児期になると、顔の症状は軽くなりますが、全身の乾燥が目立ち引っかき傷になったり、ヒザやヒジの内側、手首などの皮膚が灰色っぽく変色して、硬くなり(苔癬化)かゆくてやはり引っ掻きます。

 

【原 因】

皮膚の表面の異常によって、皮膚が乾燥し、バリア機能(皮膚の表面のものを体の中に吸収しない)が落ちている為、外的刺激でかゆみを生じたり、アレルゲンが皮膚の中に吸収され炎症(湿疹)を引き起こすと考えられています。

皮膚のバリア機能の低下について
アトピー性皮膚炎の方への特徴は、セラミドに代表される細胞間脂質の低下や、フィラグリンの遺伝子異常により天然保湿因子の形成が低いため、皮膚への保湿因子が少ない事が特徴にあげられます。また小児は10歳ぐらいまでは皮膚炎を引き起こしやすい肌になっています。

アレルゲンの皮膚からの吸収について
アトピー性皮膚炎の肌の特徴は、バリア機能の低下ですが、バリア機能が低下している皮膚からはアレルゲン(アレルギー物質)も侵入してきます。ダニやカビがアレルゲンになるだけでなく、食物(卵、牛乳、小麦)なども経口摂取だけでなく(時にはそれ以上に)皮膚から吸収が起こりやすくなります。(お茶のしずく石鹸は、石鹸に含まれる小麦成分の経皮感作がアレルギー症状の原因となりました)

 

【アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係について】

アトピー性皮膚炎の増悪因子として、【ダニ】【ホコリ】【花粉】【動物の毛】【カビ】などに並んで、特に乳幼児の場合、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎を悪化させる原因になります。

湿疹と関係のある食物アレルギーには大きく分けて2つのタイプがあります。

①食事後、すぐに出るタイプ 
食事後、数分から数時間以内に多くは蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状がでます。
口の中のチクチク感や、息苦しさといった症状がみられます。
両親も与えた食事が原因では?とわかる事も多く、急性期の症状が消えれば、普段の肌がアトピー性皮膚炎といった湿疹がみられる訳ではありません。

②経過が慢性で、症状すべてを1つの食事で説明ができないタイプ
乳幼児のアトピー性皮膚炎の人の中には、このタイプの子供さんがいます。
生後まもなく発症し、皮膚症状が重篤です。最近では、重篤な皮膚症状のある部位からの食物の吸収(経皮感作)が大きなアレルギーの原因とも言われています。
アトピー性皮膚炎の症状の強さと、血液検査の陽性率(血液IgE抗体の数値の高さや、IgE陽性の食事項目の数)に比例します。
乳幼児期に発症した食物アレルギーの多くは5歳頃までには、軽快、消失します。

 

【食物アレルギーの自然経過】

乳児期に発症した食物アレルギー(項目としては、『卵』『牛乳』『小麦』『大豆』順に多い)は、多くは5歳頃までには、軽快、消失します。

反対に同じ食物アレルギーでも、幼児期以降に症状が出てくる『ピーナッツ』『エビ』『カニ』『ソバ』『穀物』などは、軽快しにくいと言われます。

 

【アレルギーの検査を受ける?】

赤ちゃんの肌が弱いと、ご両親は ”アトピー性皮膚炎では?”食物アレルギーでは?”と心配になり、検査を希望し、受診なさる方を見かけます。

アトピー性皮膚炎は、左右対称でかゆみを伴う湿疹が、2ヶ月以上続く頑固な湿疹です。
数日続く湿疹では、心配は要りません。

乳児期に検査を要する方は、主に食物アレルギー②のタイプでの皮膚症状の重篤な方です。
多くは、アレルギーの家族歴があります。

食物アレルギー①のタイプの人は、ご両親が「これが原因かな?」と思っている食物が陽性に出る事が多く、その食物を控えていれば、日常困ることはあまりありません。

2-3歳になって、体・四肢の屈曲部の症状が目立つ方で、家族歴のある方、喘息や鼻炎などの他のアレルギー症状のある方は、食物アレルギーだけでなく、ダニ、ホコリ、動物などの吸入抗原などについても検査が必要です。

 

【治 療】

1)皮膚のバリア機能を保つ
正しいスキンケア
汚れを洗い流す。
石鹸はしっかり落とす。
入浴後は5分以内に保湿剤で皮膚を保護する。
保湿剤だけで悪化する時はステロイド外用剤、免疫抑制剤などによる外用治療
近年は皮膚のバリア機能を保つため(皮膚がきれいな状態を保つため)間欠的にステロイドを使う治療もあります。

2)湿疹(皮膚の炎症)の治療
ステロイド剤や免疫抑制剤(2歳以上)を使用し、皮膚を正常の状態に戻す事が大切です

3)皮膚の憎悪因子の改善
皮膚の乾燥掻破(ひっかくこと)の予防
皮膚は乾燥すると皮膚本来の機能が果たせず、わずかな外的刺激でもかゆみが強くなり掻破の原因になります。
アレルゲンの除去
ダニ、カビ、食物、ペットなどの動物は、症状悪化のアレルゲン(原因)になりやすく、除去が必要です。
バリア機能が低下していると、それだけでアレルゲンからの刺激を受けやすくなります。
黄色ブドウ球菌(とびひの原因)の増殖をおさえる
外観が荒れた皮膚には、ブドウ球菌がたくさんいます。
肌の手入れが増殖をおさえる一番の方法です。

汗の中に含まれる成分が憎悪因子になる人もいます。
汗でかゆみが増す時は早めに拭きとりましょう。
疲労・ストレス
疲労やストレスでかゆさを感じ、皮膚をかく事が多くなります。

さまざまな憎悪因子の除去は大切ですが、スキンケアや薬物療法により肌の状態を改善しておかなければ、皮膚の乾燥やかゆみは防げず、また皮膚からのアレルゲンの侵入のブロック、ブドウ球菌の増殖を抑える事が困難です。
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治療の最重要ポイントは、スキンケア、保湿、薬物による肌の状態の改善にあります。


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*全ての年齢についての対処で、乳幼児特有の食物アレルギーについての記載はありません。

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